「家庭と研究の両立は可能ですか?」

http://www.bioreg.kyushu-u.ac.jp/saibou/message/m01_05.html
さて中々追記できなかったのでこの際転記。
まず、質問してきた学生さんに対して言いたい。
「研究というのは、必ずしも努力が結果に結びつかない分野だと思う」
→YES! 努力してもしても報われるとは限らないけど、努力しなくちゃ決して報われない世界です。そこんとこ、誤解しちゃいないかい? この学生さんの考えは甘い。舐めんな。そう言う意味でこの中山先生と言う方が「虫が良すぎます」と仰ったのには全く同意。
そして、実際家庭を言い訳にする研究者を確かに目の当たりにしたことがある。彼は補助金獲得には才能がおありのようで、今でも機械を子供のおもちゃのようにがんがん買い替え買い足して埃を被らせているようだが、学生、研究員の書いた論文の山もまた、デスクで年単位で埃を被っていると言う。一方で、家族旅行が最優先、土日は決して出勤しない。いずれメンバーの意欲が低減し、優秀な人材は離れて、成果が上がらなくなっていくのだろう。その時彼がどう思うかは分からない。
しかしこの方の文章、途中から怪しくなる。全て兎に角犠牲にしなきゃならないか、と言ったら流石に違わないか?「家庭を大切にするタイプは8割は科学者として競争的な仕事をするのに不適格」と言うのは流石に言いすぎじゃないか。
大体、この方がどんだけ家庭を犠牲にして来たか知りませんが、この持論の元に大活躍しておいでなのなら、今頃研究費がっぽがぽのノーベル賞候補にでもなっていたっていいんじゃないですか。どうなんでしょうか。
私事ですがうちの父は超絶子煩悩です。ですが、仕事が忙しく、仕事の手を抜く事は出来ない人であった為、子供が可愛い盛りには全く子供と遊ぶ事が出来なかったのです。その結果、思春期も終わる頃の子供の部屋に「ばぁ」とドアを開けて踏み込むような可哀想なお父さんになってしまったのです…いや、尊敬してますが。そんな背中を見てきたので、「家庭を思っていても顧みきれない」人って非常に理解出来るし親近感を覚えます。つかどうせ自分もそうなるのだと思いますが(結婚出来たら、出来たらな!(泣))。
んで、研究の為に全てを犠牲にする事は已む無いと考えるのは結構なのですが、この方の強気の文章を見ていて思うのは
「貴方は家庭を言い訳に仕事を疎かにする人を扱き下ろしていますが、そう言う貴方は仕事を言い訳にして家庭に愛情をかける事すらサボっていませんか?」
と言う事。
研究も仕事であり、仕事である以上プロ意識と責任感を持って努力すべきだ。時間をかけて努力しなければ報われないのだから、そりゃ時間をかけるべきだ。しかし、「俺様は仕事で頑張っているんだから家族なんぞ知らなくて当然だ」とまで言うのは傲慢じゃないだろうか。
また、勿論、仕事における成功に価値を感じないなら、それは自分の価値観に従えばいいと思う。そう言った価値観の全否定とか、「家庭を顧みないで没頭する自分」に酔ってそうな辺りがどうにも鼻についたんだよな。