化学は恐ろしいものではない

えー、やや乗り遅れてますが、先日タリウムなる薬品を親御さんに投与してた女子高生が捕まりましたね。薬物を近所の動物や親に投与、ってのは恐ろしい話ですが、報道のされ方に疑問を感じました。
「普段から化学に強い関心を持っており」とか「ファーブル昆虫記を愛読してた」とかを殊更に強調してましたね。
理科離れの叫ばれる昨今。正に叫んでる側のマスメディア様がそれを助長するような、それもここまで的外れな事を声高に叫ぶのは頂けません。
違うだろ。問題なのは毒物を人を含めたそこらの生物に投与してはいけないと言う事が分からない命への意識の低さ。身内を次々毒殺していった人を尊敬していると言う心の歪み。そうじゃないですか?
まぁ化学に関心があるってのは知識があるが故の好奇心と言えなくも無いですが、それも詭弁であって、高校生にもなってやっていけない事の線引きが出来ない事が問題なだけです。私も研究者も含め若い頃から科学に興味があった知り合いはごまんといますが、誰一人、人に毒物投与なんて奇行に及んだ人はいません。フェノールや強酸、強塩基を使った実験もやりましたが、それをちょろまかして人にぶっ掛けたなんて話も聞きません。
まして、昆虫記が何の関係がありますか?昆虫に薬物投与した日記が載ってるってのか?昆虫を一家惨殺でもしたのか?
好奇心は誰もが生まれ持っているものです。知識から隔離して寝た子を起こすな、なんてやっても、人の口に戸を立てられない以上、世の中には正誤ごたまぜの情報は幾らもあります。やっていい事といけない事をきちんと考えさせた上で知りたい事は知る機会を大人の適切な指導のもと与えてあげるべきじゃないでしょうか。